airアイコン 長き休暇−かえらぬ日々

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【長き休暇−かえらぬ日々】

−−A.D. 2201年、「ヤマト2」
:お題2006-No.15「長き休暇」




 ヤマトは、再び帰ってきた――。
ボロボロに傷ついて、爆発しないのが不思議だというくらいに、傷だらけで。

 3年生になっていた俺たちは、戦闘員と技術員を中心に、治安維持のため借り
出され待機させられていた。
情報は入ってこない――ただ待たされるだけがどれだけ辛かったことか。
 全面降伏のための召集だった。
 だが。

 ヤマトが叛旗を翻し……俺たちは。
喝采を叫んだもの、力なく崩れ折れたもの…心の中で。
厳しい訓練と軍人としての規律は、外にそれを出すことを許さなかった。
――特に俺は。
その、テレザートへたどり着くまで、“謀反人の弟”で“ヤマト関係者”だった俺は。
下手をすればスケープゴートにされる可能性も零でなく、それは同期の仲間たち
に守られてはいた。しかし行き場を失った軍人の集団など。
理性をそこに求める方がどうかしていた。

 だが俺たちは。
 辛うじてそれを保っていた。
土方さんが亡くなり、地球上のほとんどの艦隊が壊滅していっても…。ヤマトが
ある。
そのヤマトが行方不明になった時、一時は諦めもしたけれども。


 そして。
 一部始終を、防衛軍本部から見守っていた上級参謀たちの口から――何らか
の指令が発されたのかもしれない。
俺たちは、そのまま……一旦解散を命じられた。

 そして俺は、加藤四郎は。収監ドッグへ向かった――どさくさに紛れて。

 
背景画像 by「壁紙宇宙館」様

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