惑星の風景〜使者たち
−−circa..10 years later
:お題 No.71「使者」 「おーいっ!」 後ろから追いかけてきた姿を見れば同期の麻生だった。 ばふ、と肩に手をかけて、「飯でも行かねぇか」と言う。あぁいいなちょうど昼休 みだが、午後からの準備があるからな、早飯だぞ、と断って。 カフェに向かい歩き出しながら麻生は言う。 「お前ぇさ、最近、噂んなってんぞ」からかう口調で。 なにが、と須永は返した。 苫米地副司令の下にいながら司令の川上少将の憶えもめでたい…要領が良く て出世欲の強いやつ、などと僻みも含め揶揄されているのは知っている。 冗談っじゃない。いつでも立場代われるものなら代わってやる。俺はきちんと仕 事がしたいんだ、体よくこき使われる身にもなってみろってんだ。 難しい顔になったのを見て、麻生は吹き出した。顔を近づけて、面白そうに。 「…お前、佐々副司令補と、どうなってんの?」 なにっと大きな声を出して、立ち止まる。 「ぶっ。そんな驚くことないじゃねぇか。最近、お前、夜んなると司令補の部屋 出入りしてるって本当か?」まぁもともと可愛がられてんじゃねぇかよ。 ――誤解も、はなはだしい。 だけど。「今朝も呼ばれてたみたいだし?」 「何言ってんだよ――呼び出されてこっぴどく怒られただけだ。嘘だと思ったら 桐原も一緒だったから、訊いてみろよ」 「何ムキになってんだよ……なぁんだ。須永もやるなぁなんて話してたのにな、 単に噂かよ」 「――ほんとなら、俺だって光栄さぁ」 だがな、知ってるか? 加藤司令と別れたって噂飛んでるぜ? 本当か? 希望はあるって息巻いてるやつ何人かいるぜ? お前、その気があるんなら 早くやっちゃえよ。 「何失礼なこと言ってんだ――」 だが、心の中で思うところのないわけではない須永である。 |